愛犬が下痢をした際に考えられる原因とご自宅でできる対処法

<はじめに>

愛犬が突如お腹を下してしまうのは、一緒に生活している飼い主さんであれば時々経験することだと思います。
人が下痢をした場合には、自ら下痢止めや整腸剤を服用したり、食事を調整することができますが、愛犬たちはそれをすることができません。
そのため、下痢をした愛犬に対して飼い主さんがご自宅で何をしてあげられるのか、今回はご紹介したいと思います。

<愛犬が下痢をする原因>

そもそも下痢とは、本来大腸を中心に吸収されるべき水分が、十分に吸収されないままお尻から排泄されるために、普段と比べて多く水分を含んだ状態の便を指します。
含まれる水分量によって、ある程度形を保った“軟便”で済む場合や、ドロドロの“下痢便”となってしまう場合まで様々です。
では、愛犬が下痢をした際にはどんな原因が考えられるでしょうか?

・食事

与える量が多すぎるとお腹に負担がかかり消化不良となるため、下痢を引き起こします。
また、賞味期限が切れていたり、管理状態が望ましくなく湿気てしまったご飯は、細菌やカビが繁殖している可能性があり下痢の原因となります。

さらに、食物アレルギーをはじめとして、与えたご飯が愛犬の体に合っていない可能性も考えられます。
愛犬が下痢をする前に、食事の変更や新しく与えたおやつなどがないかどうか振り返ってみましょう。

・異物の誤食、中毒

おもちゃやボタン、ひもなどの異物は胃や腸では消化されず、大きさや形によっては詰まってしまう可能性があります。
また、人用の医薬品やサプリメントなどを食べてしまった場合は、中毒症状の1つとして下痢が生じることがあるため、注意が必要です。

・ストレス

愛犬がストレスを感じると、ホルモンバランスが崩れ胃腸を刺激するため、下痢となってしまうことがあります。
ストレスの理由としては、年末年始や長期休暇などで親戚がおうちに来ていたり、新しいペットや家族を迎えたり、雷や雨風の音、おうちの近くで始まった工事の騒音など多岐にわたります。
さらに、外気温の大きな変化や季節の変わり目などもストレスのきっかけとなることがあります。

以上「食事」「異物の誤食、中毒」「ストレス」の3つが、愛犬が突如下痢をした原因として多いものと考えられます。

しかし、そのほかにもウイルスや寄生虫により胃腸炎を生じることもあれば、胃腸が捻れてしまったり(=捻転、ねんてん)、腫瘍ができてしまうことで下痢を引き起こすこともあり、ひとえに下痢といっても様々な原因が考えられ、特定できないことも少なくありません。
下痢以外の症状が見られていたり、愛犬の様子がおかしい場合にはすぐに動物病院へ相談しましょう。

<愛犬が下痢をした時にまず確認すること>

もし、愛犬が突如下痢をしてしまったら、先ほど紹介した3つの原因のうち、当てはまるものがないか確認してみましょう。

まずは、ご飯に関しては以下の確認が必要です。
・いつもよりご飯の量を増やしてはいないか?
・ご飯は劣化していないか?
・最近、食事の変更や新しく与えたおやつはないか? など

特に、手作り食や生肉などを与えているご家庭では、食材の管理が適切かどうか今一度チェックしましょう。
もし愛犬が以前から手作り食や生肉を食べていても、便の状態も今までは問題なかったのであれば食物アレルギーの可能性は考えにくいでしょう。
その場合は、ご飯の種類は変更せずに量を一時的に減らして腸を休ませて下さい。
生肉は加熱されていないため、水分を豊富に含み、様々な酵素も残っているので、下痢をしている愛犬にも適していると考えられます。

次に、考えるべきは異物の誤食や中毒の可能性です。
盗食が疑われる際には身の回りに無くなったものがないかどうかチェックしましょう。
誤食や中毒のケースでは、下痢が何度も続いたり、嘔吐が一緒に見られたり、愛犬の様子が大きく変化することが多いので、下痢以外の症状にも着目して下さい。
もし、誤食や中毒が疑われる場合にはすぐに動物病院へ相談しましょう。

また、愛犬がストレスを感じるような環境の変化がなかったどうか振り返ってみて下さい。
もしもストレスの原因として疑わしいものがあれば、極力取り除くよう努めましょう。

下痢の原因となりそうなものを飼い主さんご自身で確認した上で、ご自宅でできる対処をしていきましょう。

<下痢をした愛犬にすべき対処法>

・ご飯の量を減らす

下痢をしている場合、愛犬の胃腸は動きが活発になっていることが多いとされます。
そのため、一時的に胃腸を休ませるため、その後与えるご飯の量を減らしてあげましょう。
この時与えるご飯の種類はいつもと同じもので構いません。
それでも下痢が続くようであれば、ご飯が体に合わなくなってしまった可能性を考慮します。

・水分やスポーツドリンクを摂取させる

下痢によって栄養だけではなく水分も失ってしまう恐れがあります。
そこで、お水はいつでも飲めるように用意しておきましょう。
また、スポーツドリンクを薄めて飲ませてあげることも脱水を防ぐ上で有効と考えられます。

・下痢による汚れを拭いておく

大切なのは、下痢によって汚れてしまった毛や皮膚をしっかりと拭いておくことです。
そのままにして時間が経過すると、便が固まって取れなくなったり、皮膚炎が生じてしまいます。
一方で、シャンプーをすることは愛犬のお腹へ負担がかかる可能性があるため、犬用のウェットティッシュかぬるま湯で湿らせたタオルなどで拭き取りましょう。

<望ましくない対処法>

最後に、ご自宅でしてはいけない、あるいは望ましくないとされる対処法をご紹介します。

・絶食、絶水にする

愛犬が下痢をしている間、食べたものがどんどんお尻から出てしまうので、絶食や絶水をされる飼い主さんも中にはいらっしゃいます。
確かに、一時的にはお腹を休ませる効果があるのですが、下痢によって栄養や水分が失われていくため、1日以上の絶食や絶水はしてはいけません。
水分の摂取はいつでもできる状態にしておき、ご飯の量を減らすことでお腹を休ませましょう。

・人用の整腸剤や下痢止めを与える

医薬品をむやみやたらに愛犬に投与することは症状を悪化させる恐れがありますので、絶対にやめましょう。
中には医薬品と同じ成分のお薬を動物病院で使用することもありますが、用量用法が人の場合と異なります。
お薬は必ず動物病院で処方されたものを使用して下さい。

・今までにあげたことのないご飯やおやつを与える

愛犬が口にしたご飯が原因で下痢をしていると考え、今までに食べたことのないご飯や食材を与える飼い主さんもいらっしゃいます。
食物アレルギーの治療にあたってはこのような対処をすることがあるのですが、一時的な下痢では慣れない食材に胃腸が刺激を受け逆効果を示すかも知れません。

<まとめ>

以上のように、愛犬が突如下痢をした場合、考えられる理由は様々です。
ご自宅の状況や愛犬の性格、食事内容などからどんな原因が考えられるか、一度考えてみると良いでしょう。
しかし、下痢が1日を超えて続く場合や、嘔吐やふらつくなどのそのほかの症状が見られる場合には要注意です。
できるだけ早い動物病院への受診を検討しましょう。