愛犬に生肉を与える時に大切な衛生面での注意点

はじめに

近年、愛犬の食事に生肉を与えることが注目されていますね。

一方で、火を通していない生の食材には衛生面の管理が不可欠です。これから愛犬に生肉を与えようと考えている飼い主さん、あるいはすでに愛犬に生肉を与えている飼い主さんに是非とも知っておいてもらいたい、食品衛生上の注意点についてご紹介します。 

 

食肉と食中毒菌の関係

食肉にかぎらず食品全般に共通することですが、無菌で加工・製造することはできません。 

お肉の表面には様々な細菌が付着しています。(愛犬用の生肉だけではなく、私たちが食べるお肉も例外ではありません)

一般的には、鶏肉からは大腸菌・サルモネラ菌・カンピロバクターが、豚肉からはサルモネラ菌・カンピロバクター・黄色ブドウ球菌が分離されるそうです。これらはいずれも人に食中毒を引き起こしうる菌ですが、犬をはじめとしたペットに対しても同様で、身体に入った菌の数や種類によっては急性胃腸炎等の症状を引き起こす可能性があります。 

そのため、食肉は基本的には加熱処理をしたのち食べることが、人でも犬でも勧められています。 

ですが、加熱によって衛生面のリスクが減らせる一方、損なわれてしまう栄養素があるのも事実です。 

だからこそ、ペットの食事に生肉を使うことのメリットを享受するためには、極力細菌が増えないよう気をつける必要があります。 

生肉の保存方法

生肉の表面で見つかる食中毒菌のほとんどは、常温下では急速に増殖してしまいます。 

そこで、生肉を保存する場合は最低でも冷蔵保存をしましょう。 

しかし、冷蔵保存下であっても、多くの食中毒菌は完全には無くならないのみならず、菌の種類によっては冷蔵環境で増殖することが可能な細菌まで存在します。

そのため、生肉を冷蔵保存する場合には、2〜3日以内に使い切るように心がけてください。 

可能であれば、冷凍保存がオススメです。冷凍であればほとんどの細菌を増やすことなく、さらに長期間保存しておくことが可能になります。

一般に-20℃の冷凍環境で48時間以上保存しておくことで、細菌だけではなく寄生虫も死滅させることができるといわれています。

したがって、生肉を購入する際にかかるコストも考えると、一度にまとめ買いをして冷凍庫で保存しておくことをオススメします。(あらかじめブロックにして切り分けておかないと解凍の際に大変ですのでお気をつけください) 

ただし、冷凍保存する場合も注意が必要です。 

一般的に、冷凍庫の中には様々な食材を詰め込んで保存している方が多いかと思いますが、“交差汚染”といって、冷蔵庫や冷凍庫内にある他の食材に、生肉に付着していた細菌が移ってしまう可能性があります。冷凍庫に入れておけば、細菌の働きが弱ると考えて安心してはいけません。 

市販の冷凍庫ですと(開け締めが頻繁に発生することもあり)-20℃を常時保つことは難しいといわれています。温度が高くなればそれだけリスクが増え鮮度は保ちにくくなりますので、人が口にする食材とは直接接触しないよう、しっかりと容器を分けて保存するか、ペット用に専用の冷凍庫を用意した方がより安全でしょう。 

冷凍保存した生肉の与え方

最後に、冷凍された状態の生肉を愛犬に与える際のポイントをご紹介したいと思います。原則としては、自然解凍させることがオススメです。 

冷凍庫に保存している生肉を、翌日与える分だけ取り出して夜寝る前に冷蔵庫に移しておきましょう。

そうしておくことで、翌朝の時点では生肉が自然解凍されていますので、そのまま愛犬に食べさせてあげることができます。

また、あまり時間がない状況であれば、冷凍した生肉が入ったパックを流水にさらし、解凍させる方法も良いでしょう。

酵素をはじめとする生肉特有の栄養素を損なわないためには、火を通したり、電子レンジで過剰に熱を加えないことが大切です。

 

お時間がない方は通常より早い時間で解凍できる「美味・快傑板(びみ・かいけつばん)」のようなプレートを使うもおすすめです。 

まとめ

生肉を愛犬の食事として与えることのメリットはたくさんあります。

新鮮な状態だからこそ豊富に含まれる栄養素を摂らせてあげたいと考える飼い主さんは多いことでしょう。 

だからこそ、保存方法に注意を払いたいところです。

ご家族がいるお宅では冷凍庫を共有したくないという事情もあるかと思います。

余裕があれば、愛犬専用の冷凍庫・冷蔵庫を用意してあげてください。