老犬がご飯を食べないときに考えるべきこととは?
犬も年を取ると食が細くなったり、食べる量にムラが出来たりすることがあります。
老犬の「食べない」には、どんな原因があるのでしょうか?
また、食べないときの対処方法についてもお話します。
老犬がご飯を食べない理由
大きく分けると、病気の場合と加齢の場合があります。
「もう歳だから」と思いがちになりますが、重大な病気が隠れていることもあります。
特に体力の落ちている老犬では、早期発見、早期治療が大切です。
老犬がご飯を食べない理由について、また病気かどうかを見極めるにはどうすれば良いのかについてお話しします。
食べない理由1:嗜好の変化
加齢とともに、味覚や嗅覚は低下します。
それによって、今まで食べていたフードの味や匂いを感じにくくなり、食べなくなることがあります。
味覚には、ミネラルバランスの変化が影響していることも考えられます。
食に対する関心も減ってくるので、毎日同じものだと食べなくなってしまうこともあります。
食べない理由2:噛む力の低下
老犬になると、噛む力が弱くなります。
特にドライフードの場合、硬いと感じて食べなくなることがよくあります。
食べない理由3:体全般の機能の低下
老犬になると、運動量が減り、代謝も落ちてきます。
また、唾液など消化液の分泌量も少なくなることから、消化機能全般の動きも鈍くなります。
それに伴って、腎臓や肝臓などの能力も低下します。
こうしたことにより、食欲が低下することが考えられます。
病気かどうかの見極めポイント
病気か老化かの見極め方について、みていきましょう。
一番のポイントは体重変化の割合
年を取ると人間と同じで、犬も代謝が落ちます。
その点では、食欲が落ちることは自然の流れだと言えますが、
その場合、体重はほとんど変わらないか、月単位で少し変化する程度でしょう。
年を取れば筋肉量も減ってくるので、徐々に体重は減りますが、
10%以上減少したときには要注意です。
病気が隠れている可能性があるので、早めに動物病院を受診しましょう。
他に症状はないかよく確かめて
老犬に多い病気として挙げられるのは、
心臓や腎臓の疾患、腫瘍(ガン)、歯周病、甲状腺機能低下症、などがあります。
咳や鼻水、下痢、嘔吐など目に見える症状があれば、受診するのは勿論のことですが、
老犬の場合は痛みなどでうずくまっているのを「年だから、活動量が減った」などと誤解してしまうことがあります。
老犬がご飯を食べないと感じたときには、歩き方や動き方に不自然なところはないか、
触って嫌がるところなどはないか、よく確認するようにしましょう。
老犬が食べなくなってきたときのフードの与え方
老犬がフードを食べてくれないときの対処方法と注意点についてお伝えします。
食べやすくする工夫
味覚や嗅覚、噛む力などが低下している老犬の場合、いかにフードを食べやすくするかがカギとなります。
フードを温めることで香りが立つので、それだけで今までのフードと同じでも食べるようになることもあります。
また、今までドライタイプのフードを与えていた場合、半生タイプのフードにすることで、
噛む力が弱くても食べやすくなり、食欲が戻ることがあります。
おやつの与え過ぎに注意
老犬がフードを食べてくれないと心配になりますよね。
なかには「ジャーキーだけはよく食べるから」などと、おやつを沢山与えている方もいらっしゃいますが、これは消化と栄養バランスの面からお勧め出来ません。
ジャーキーなど、乾物のおやつは消化に時間がかかります。
老犬の場合は特に消化管の働きが悪くなっていることも多いため、消化不良の原因になります。
また、ミネラルやビタミンのバランスが崩れることで、病気を引き起こす可能性もあります。
「どうしても市販のフードを食べない」「体に負担になるおやつを減らしたい」という場合には、手作りフードに挑戦してみるのも良いかもしれません。
老犬に優しい手作りフード
「食欲がないときでも、手作りのご飯なら食べる」という飼い主さんの声をよく耳にします。
手作りフードの利点や与えるときのポイントについて見ていきましょう。
水分摂取量を増やすことが出来る
老犬になると、腎臓の機能が衰えてきます。
それを補うためには、水分を積極的にとることも大切です。
犬に水を飲むように言って聞かせることは出来ませんが、
手作りフードを与えることで、充分な水分量を摂取させることが出来ます。
水分を沢山摂ることは、消化管の機能が落ちた老犬の便秘予防にもなります。
良質な動物性のタンパク質を摂ることが出来る
老犬になると、運動量の減少により、筋肉も減少してしまうため、代謝が落ちてしまいます。
体重が減少することもありますが、
逆に、今までと同じ量のご飯をあげているのに太ってしまうこともあります。
その場合、カロリーだけに着目して、フードの量を減らしてしまうと、
筋肉量が更に減少し、さらに代謝が低下するという悪循環になります。
筋肉量を増やすためには、充分なタンパク質の摂取が重要です。
また、同じタンパク質でも、肉などの動物性タンパク質の方が
豆腐などの植物性タンパク質よりも体への吸収率が良いと言われています。
しかし、市販のドックフードは、植物性のタンパク質の含有量が多く、
動物性タンパク質は僅かしか含まれていないものもあります。
筋肉量を維持したり、増やしたりすることを考えた場合には、
手作りフードの方が、動物性タンパク質をより多く摂取出来ます。
手作りフードは少量から
急激な食餌の変化は腸内細菌のバランスを崩し、体調不良の原因になりかねないため、
手作りフードを与えるときは、少量から始めましょう。
今食べているフードを3分の1程度減らし、茹でたささ身などを乗せる「トッピング」が良いでしょう。
慣れてきて、飼い主さんも続けられそうであれば、
食餌全体のうち6、7割が動物性食品、3、4割が野菜、残りの1割程度が穀類となるようにバランスを考えて手作りフードを与えてみましょう。
老犬の場合は、特に、ミネラルやビタミンの調整が大切になります。
完全に手作りフードに切り替える際には、手作りフードに知識と理解のある動物病院に相談することをお勧めします。
老犬に楽しい食餌の時間を
いつもとは違ったフードの与え方や手作り食を与えることで、愛犬が喜んで食べる姿を見ることが出来るのは、とても嬉しいものです。
老犬がご飯を食べない原因はいくつかありますが、その理由を見極めて対処することで、なるべく長く健康に過ごさせてあげたいですね。